日別アーカイブ: 2018/01/01

朝倉祐介著「論語と算盤と私」を読んだ。



元mixiの人。
最近戦略と実行について思うところがあり、読んでみた。

以下、気になったところの抜粋。
端的に言うと、意思決定には可逆/不可逆があることが印象に残った。
つまり、不可逆な意思決定は慎重に行わざるを得ない、しかし一方で「決めない」と問題を先送りにするだけだ、ということ。

スティーブ・ブランクの書籍にもある引用なども含みつつ、あまり上からでない内容がとても参考になった。

第一章 職業としての経営者とリーダーシップ

そうはいっても自分の弱さは知っているから、僕は選手の仲人は絶対にしないし、今同じチームに所属している選手とは飲みません。パーティーに出ても、選手がいるところで僕は絶対に酒を飲まない。だって、ワイワイ一緒に過ごした仲間に、翌日「はいクビ」って僕は言えない。

運というのは、誰にでもどこにでも流れているんだと思ってるんです。それをつかむか、つかみ損ねるかの違いでしょ。だったら、俺はつかみ損ねるのは嫌だ。運を全部つかんだとしても勝てるかどうかは分からないけど、運をつかみ損ねておいて勝とうなんて甘いと思いませんか。

それこそ、「勝つサッカーか、自分たちのサッカーか」なんてよくいうけど、どちらかだけでいいなら、メチャクチャ簡単です。勝つだけでいいなら相手をつぶしにかかる方策はいろいろある。ただし、そんなことは長続きしない。逆に、自分たちのサッカーができれば負けたっていいというなら、それはもっと簡単です(笑)。結局、両方追わなきゃいけないから大変なんですよ。

経営もスポーツも同じで、明確な目標というのは本当に大事です。多くの人がいろんな成功の書とか読んで「目標設定が大事」ということは知っているでしょうが、おそらく普通にみなさんがそう思っているより10倍は大事ですよね。目標はすべてを変えます。

勝負の鉄則として「無駄な考えや行動を省く」といわれます。

第二章 集団・企業が陥る自己矛盾
世界最古の企業が、日本の建設会社「金剛組」であることはよく知られた話です。創業は西暦578年のことだそうです。

第三章 起業・スタートアップの環境変化
事業の成長スピードや市況を考えると、本来イグジットを先延ばしにしたほうがより大きく事業を成長させることができる蓋然性が高い状況であったとしても、出資を受けた以上、スタートアップの経営者は投資家サイドの意向を尊重せざるを得ません。

仮に自分の好きな製品やサービスを自分たちのペースで世の中に提供し続けたいという思いが最大の原動力なのであれば、プライベート・カンパニー(非上場企業)として生きる道を模索するほうが、よほど賢明なのかもしれません。

日本でも、世の中を見渡せば、資金調達をせずに成長した会社はいくらでもあります。2015年に新興市場に上場した企業のうち、4分の1はVCから資金を調達していません。新進気鋭のスタートアップが集まるIT領域においても、2011年に上場を果たしたリブセンスなどはVCから資金を調達していません。

自分たちがやりたいことを、最も効率的に、かつやりたいようにやる方法にこそ頭を使うべきです。

第四章 成熟・衰退期を迎えた企業の処方箋
山本七平は、会議室での議論が組織を取り巻く全体の「空気」に支配されてしまいがちであることを指摘し、より本音が出やすい飲み屋での意思表明も統合したうえで、会議室と飲み屋の二段階方式による意思決定を導入すべきだと述べています。このアイロニカルな二段階方式が、当世の多くの日本企業においても有効に機能するであろうことは想像に難くありません。

組織全体を覆う空気に抗い、リングにタオルを投げるための第一歩は、一切の制約条件を取っ払い、眼前の状況を虚心坦懐に思いっきり相対化し、客観視することから始まるのだと思います。要は目の前の事業がまだ存在していなかったと仮定して、「ゼロからでも同じビジネスをやるか?」、また「同じやり方でやるのか?」を自問してみることです。もしも答えがNOであるならば、それはなんらかのけじめをつけなければならないタイミングだということです。

この点、組織において外様であること、異端であるということは、自社に対する理解度合いに欠け、協力者が少ないというネガティブな点がある一方で、経営者としての職務を全うするうえではプラスに働く面もあります。

さて、停滞期の会社をしがらみから解き放ち、変革するためには、まず事業の成長ステージや企業の財務状況を確認し、残されている時間がどの程度あるのかを見極める必要があります。

たとえば、全社の事業を俯瞰するための管理会計の整備です。各事業単位の採算状況を把握することなくして、実情に即した意思決定を下すことは極めて困難だからです。

仮に組織に働く慣性の一側面を「空気」と呼ぶならば、空気を読んだうえで空気に流されず、率先して空気をつくるということです。